バーストラウマのケーススタディ

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胎内記憶によってつくられた

男性への異常なまでの敵意

 

 

独身女性(35歳)のHさんは、10年前に自己啓発セミナーを受けて以来、ずっと自分の内面を掘り続けてきました。バーストラウマのリーディングをすると、男性にライバル心を持ちながら、女性のことも見下すという複雑なトラウマが現れました。

周りがすべてバカに見えてしまいながら、自分にも自信が持てないのです。異性関係でも、おつき合いを始めた相手を、こてんぱんに叩きのめすというパターン。それは出産時のトラウマが根深く残っていたせいでした……。

 

 

Hさんが母親の胎内に

降りてきてまず感じたのは

「寒い」というものでした。

 

暖かく安らかな場所を求めてきたのに、

どうも違う。自分が期待していた

世界じゃない、と。在胎4カ月で、

Hさんは自分に居心地のいい環境を

提供しなかった母に対して、

「もっと優しくされて当然なのに」

という反抗心が芽生えます。

 

5カ月になり、「まだ早いけどね」

という父親の言葉が聞こえてきました。

そのときに母は

 

私ひとりで子どもを

つくったわけじゃない!

妊娠した私が悪いみたい!

 

と感じていたようで、

その波動を胎内で受けたHさんは、

父親に激しい怒りを覚えました。

 

せっかく生まれてきてやるのに、

それを早いと言うなんて、

お父さんったら、どういうこと?

私は生まれてきてあげるんだよ。

少しは感謝したらどうなの?

 

このとき、父親に対する

反抗心も芽生えました。

 

私は歓迎されない存在。

生まれなければよかったの?

その程度の価値しかないの?

 

両親に対して、Hさんは

問いかけ続けましたが、

その答えも受け取れず、

ただただ怒りが湧いてきました。

このとき女である自分への

強い否定がインプットされました。

そして、自分を価値のないものとして

見るようになっていきます。

 

 

 

 

在胎7カ月のとき、

「ちゃんと生活していけるかな」

という祖父の声がしました。

若くして結婚した両親だったので、

今後の生活を不安がっていたのです。

そんな祖父の言葉が、

母の心にもずしんと響きました。

 

「ちょっと早かったんだけどね」と、

父もまた祖父の言葉に相槌をうちました。

その波動が母を通して

Hさんにも伝わります。

 

祖母は、なだめるように言いました。

「子どもは、遅いよりも

早いほうがいいさ。男の子だといいね」

その言葉を皮肉と受け取った母は、

「お義母さんも、私を

ふしだらな女だと思っているんだ」と

悲しくなりました。

 

胎内のHさんは、そんな女性たちの

言葉や感情に強い怒りを覚えます。

 

なぜ男がいいの?

私は女として生まれるんだから、

女がいいに決まってるでしょう。

それにお母さん、

私はふしだらな結果なの?

私は汚れているの?

生まれてこなければよかったの?

 

それ以来、Hさんは

「なぜ男がいいの?」と

1日に何度も胎内で叫び続けました。

そのたびに、男性に対する対抗心が

刷り込まれていきました。

そして、自分の誕生を歓迎しない

父親を深く憎みました。

 

あなたをけっして許さない。

ずっと恨んでやる!

 

8カ月になると、「男はライバルだ。

勝つべき対象で、共存する相手じゃない。

私の前に現れたら、蹴落としてみせる」

と思うようになりました。

Hさんにとって、男性に

勝つことが存在価値となったのです。

 

しばらくして母が体調を崩し、

婦喧嘩が耐えなくなりました。

「男はラクでいいわね!」

と母が言うと、

父はいつも「やかましい」の

一言を返します。

胎内でこのやりとりを

聞いているHさんは、

 

お母さん、何をやってるの。

女だったら男なんか蹴落としなさい。

私が代わりにやってあげようか?

あなたはそんな力しかないの?

私ならやれるのに。

男の一人くらいで意気地なし!

 

母の、父に従順なところも

嫌悪感を覚えます。

Hさんは改めて心に誓いました。

 

私は母のようになんか、

なるもんか!

男の上に君臨する女になる。

男を顎でこき使い、

意のままにしてやる。

そのために私は生まれるんだ!

 

いよいよ出産のタイミングです。

その流れは胎児もわかっているので、

Hさんは積極的に参加しました。

できるだけ早く生まれて、

自分の力を男たちに

見せつけたかったからです。

 

産道は暗く狭い道のりでしたが、

人生の目的がはっきりしていた

Hさんはものともしませんでした。

 

ここを通れば、その先に

自分の思い描いた世界がある。

 

そう思うからこそ、勇気を持って

外の世界に出ることができました。

そこはまぶしい光に満ちていました。

 

まさに、私にふさわしい世界だ。

私は男に勝つためなら、

これからの人生で

どんなことでもしてやろう。

全生命をかけて男とたたかうんだ!

 

Hさんは、母の腕に抱かれ、

乳を飲みながら、そう宣言しました。

母の分まで男に勝つことを

決意したのです。

 

※Hさんは、これまで男性への

敵意をバネに生きてきました。

今回のセッションでその原因に

気づくことができた彼女は、

抑えられていた女性性が開花し、

のちにパートナーとも出会い、

いまは穏やかで

幸せな人生を歩んでいます。

 

 

この記事を書いた人

武茂千恵子

1950年1月7日生まれ、沖縄県那覇市首里出身。 琉球大学教育学部卒業後、中学校教員、塾経営、書店店長、小学校補充教員を経て、平成10年よりパラレルライフを設立し、現在に至る。 【パラレルライフ】は、武茂千恵子が平成10年にはじめました。   一生懸命にやっているのに報われない、人生がうまくいかない、衣食住に不自由しているわけではないけれど、幸せだと自分自身で感じられず、何かあせっていたり、満たされないなどと感じる方に、心と精神の面での癒しを行います。驚くべき効果を発揮しつつあります。

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